オンキャンパス→オフキャンパス生活(公立保育園への入園)

こんにちは、J25のYです。今回は、家族帯同、子連れでのMBA生活についてブログを投稿します。

我が家は、未就学児の子ども(幼稚園入園前)を連れて家族3人でフランスでの生活を送りました。本記事では、家族帯同でフランスに来てからの生活を、主に住居や子どもの保育・教育環境の観点から振り返ります。

制度面の整理というよりも、家族帯同でフランス生活を送る中での個人的な実体験を振り返る形でまとめています。各家庭の状況によって感じ方や重視する点はさまざまだと思いますので、ひとつの事例として目を通していただければ幸いです。また、過去にも同様のテーマの記事が複数ありますので、よろしければそちらもご参考ください。

オンキャンパス生活からパリへの引っ越し

渡仏当初は、HECキャンパス内の寮で生活をスタートしました。仕事の関係でプログラム開始直前に渡仏したこともあり、生活の立ち上げという観点では、寮を活用できたことは非常に合理的だったと感じています。キャンパス内に住むことで、同級生とも早い段階で顔なじみになれ、生活リズムについても無理なく整えていくことができました。

一方で、家族帯同という観点では、いくつか相性の問題もありました。まず、部屋のレイアウトです。家族帯同を想定した部屋も用意されていますが、もともとは単身用であった二部屋をリフォームして一部屋にしたような間取りとなっています(※いくつかのタイプがあり、どの部屋が割り当てられるかは選考(抽選?)プロセスによります)。部屋を仕切るドアの遮音性も高いとは言えないため、夜遅くに課題やオンラインミーティングを行う際には、就寝中の子どもへの配慮が必要でした。

また、キャンパス内には多様なバックグラウンドを持つ学生が集まっており、生活リズムも人それぞれです。建物の構造上、同じフロアや上下階の音が伝わりやすい面もあり、夜間に話し声が聞こえてくることもありました。学生同士の交流が活発である点はキャンパス生活の魅力でもありますが、家族、とりわけ幼い子どもを連れて生活する身としては、生活リズムの違いを調整するのが難しい場面もあった、というのが率直な感想です。

こうした点を踏まえ、約3カ月のオンキャンパス生活を経て、Term 1終了のタイミングでパリ市内へ引っ越しました。パリ市内の賃貸費用は相応に負担となり、片道1時間を超える通学は、特に朝8時開始の授業が多いTerm 2までの期間においては大変な面もありました。ただ、家族の生活環境を優先するという判断としては、結果的に我が家には合っていたと感じています。

なお、オンキャンパス生活そのものが合わなかったというわけではありません。授業スケジュールに慣れるまでの期間を学校内で過ごせたことや、フランス生活がある程度落ち着いてから内見を行い、引っ越し先を選定できた点は大きなメリットでした。その意味では、オンキャンパスでの短期滞在は、家族帯同であっても有効な選択肢の一つだったと思います。

 

子どもの保育環境

我が家では、(公立幼稚園から始まる)フランスにおける義務教育の対象年齢前の未就学児を連れて渡仏しました。家族の仕事の事情もあり、早期の保育園入園を目指して、渡仏後すぐに公立保育園への入園申請を行いましたが、最初の選考(4月)では入園が認められませんでした。

公立保育園への入園が叶わない場合の選択肢としては、私立保育園やベビーシッターの利用もあります。ただし、特に私立保育園については、居住地域近くにおける保育園の空き状況には運の要素があり、何より費用面のハードルは小さくありません。月々の支払いに加え、「枠」を確保するためにアップフロントで費用が発生するケースもあり、1年半程度の滞在という前提では、費用対効果の判断が難しいと感じました。

こうした状況の中で、なんとか公立の保育園に入園できないかと、オンラインでの申請プロセスに加えて、春の選考での落選後に家族で市役所に相談に行きました。この直談判にどこまでの効果があったかは分かりませんが、その後の秋(9月)の入園審査において、公立保育園への入園が認められました。

公立保育園の選考プロセスについて補足すると、言語の壁についてはAIを活用することである程度対応できたものの、オンライン申請手続きは必ずしもスムーズには進まず、合理的とは言いがたいエラーが発生することも少なくありませんでした。もっとも、これは保育園に限った話ではなく、フランスの行政手続き全般に共通する点かもしれません。また、申請から結果が出るまでにも相応の時間がかかります。

公立保育園は基本的にフランス語のみの環境です。保護者向けの連絡や説明もフランス語が前提ですが、渡仏後に学んだ最低限のフランス語や翻訳アプリなどを活用しながら対応しています。子ども自身も、保育士の方々や現地の子どもたちにすぐに馴染み、毎日楽しそうに過ごしています。

なお、公立保育園とはいっても、日本の認可保育園のようなイメージとは異なり、決して安いとは言えません。預け入れ日数や世帯状況などによって負担感は異なりますが、私立保育園ほどではないにせよ、相応の費用負担が発生します。

保育園に限らず、フランスにおける教育環境の選択肢としては、現地校(公立の保育園・幼稚園・小学校など)を選ぶ家庭もあれば、インターナショナルスクールを選択する家庭もあります。フランスにはHECの留学生に限らず多くの日本人がおり、情報も比較的多く発信されていますので、参考にできる資料は多い印象です。

 

これから来る方に向けて

保育や住居に限らず、ビザの更新プロセスなど、家族帯同での留学生活では、想定していなかった対応が求められる場面も少なくないと思います。制度やルール自体は存在しますし、我が家もそれなりに調べて準備したうえでフランス生活を始めましたが、実際の運用はケースごとに異なり、事前に調べたとおりに進まないことも珍しくありませんでした。

こうした中で、HECの日本人コミュニティでは、生活面に関する情報が自然と共有されています。MBA全体の平均と比べると年齢層がやや高く、家族帯同で来ている学生が比較的多い印象がありますし、家族帯同における生活面についても、相談しやすい環境があるのではないでしょうか。

一方で、入学時期や個々の状況によって家族構成や生活ステータスはさまざまで、必ずしも在学生の中に自分のケースに近い人がいるとは限りません。その場合は、在学生に限らず卒業生に話を聞いてみたり、日本人の多いフランスの現地コミュニティに相談してみたりすることも有効だと感じています。

私自身も、合格後から渡仏までの間に、人づてでHECMBAプログラムのアルムナイや在学生の方をご紹介いただき、特に子ども関連の実務的な情報や注意点について、事前に具体的な話を伺うことができました。結果として、現地での判断や準備を進めるうえで、非常に参考になったと感じています。

やや割り切った言い方になりますが、制度や手続きを事前に調べて備えておくことはもちろん大切であるものの、現実には想定どおりに進まない場面も多くあります。そうした前提のもとで、自分の状況に近い人に話を聞きながら、その都度調整していく方が、結果的には現実的だと感じています。


以上が、私個人の体験に基づくフランス家族帯同生活の振り返りとなります。これから渡仏される方、特に家族帯同で来られる方にとって、何かの参考になれば幸いです。

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