フランス版CES、 Viva Technologyに参加しました!
いつもHEC Paris MBA日本人在校生ブログを見ていただきありがとうございます。
皆様は”VivaTechnology”、通称VivaTechをご存知ですか?
フランスのテック産業、いわゆるFrench Techは、雄鶏のシンボルのもとここ10年で急速に成長しています。
評価額が10億ドル以上の未上場企業であるユニコーンは30社を超え、ヨーロッパ内ではイギリスに次ぐ評価を受けています。
(French Techのシンボルとして知られる雄鶏)
テック領域で起業するスタートアップのみならず、それらとの連携を模索する大企業、R&D機能としての大学・学術機関や政府機関が有機的に連携し、フランス発のイノベーションを発信する、年に一度のフラッグシップ・カンファレンスがVivaTechなのです。
Station
F(2017年6月にパリ13区にオープンした世界最大級のスタートアップ集積施設)とも連携し、イノベーションやアントレプレナーシップにも力を入れている我らがHEC
ParisもVivaTechに多大に参画しています。
以下では2025年6月に開催されたVivaTechの様子をご紹介します。
(2025年にFTによって、HECは欧州で4番目のスタートアップハブと評価されました)
2025年のVivaTechの概要
公式アカウントでは
・参加者:180,000人
・参加スタートアップ:14,000社
・参加パートナー企業:4,000社
・参加した投資家:3,600人
という数値が公開されていました。
これは世界最大規模と呼ばれるアメリカのテックカンファレンス、CESに匹敵する規模となります。
VivaTechは、フランスの経済紙Les Echosと広告代理店Publicis
Groupeによる共催ですが、政府や国内外の大企業との結びつきが強く、LVMHやL’Oreal、Orangeといった国内企業のみならず、Google、Meta、NVIDIAといったビッグテックもパートナーに名を連ね、会場内にブースを構えています。
登壇するスピーカーもまた豪華で、各大企業のC-Levelはもちろんのこと、フランスの大統領であるマクロン氏が毎年ローカルの急成長企業とセッションを行うほか、過去はMark
Zuckerberg (Meta)やElon Musk (Tesla)、Tim Cook
(Apple)など、シリコンバレーの巨人をも招待してしまうほどです。
会場の様子
VivaTechは毎年、パリ南部にあるコンペティション会場を2つ分貸し切って開催されます。このように所狭しと並んだブースや人の数からもその規模がわかるのではないでしょうか。
会場に入ると早速VivaTechのモニュメントが出迎えてくれます。
世界各国からイノベーションの探索や事業活動をしに集まる手前、モニュメントの前で記念写真を撮る人からは様々な言語を耳にすることができ、キャンパス外でもこのようにダイバーシティを感じることができます。
VivaTechは「オープンイノベーション・カンファレンス」と呼ばれ、スタートアップや大企業の枠を超えたビジネス連携が企図されています。
大企業のブースでは、主に各社のイノベーション活動が展示されています。LVMHはラグジュアリー*イノベーションを地でいく企業らしく、豪奢な屋根の下ブランドラインごとに取り組みが紹介されていました。個別事例のキャッチアップに加え、事業戦略に落とし込んで眺めることはMBA生にとっても多大な学びになります。
Teslaのブースでは、タクシー向けの全自動運転車両Robotaxiの披露がVivaTechに合わせて行われました。このように、全社的な経営方針をVivaTechで発信する取り組みも盛んに行われ、VivaTechの盛況を生み出していることは間違いありません。
会場では、参加者に混じっていわゆる「大物」が歩いていたりもします。
3日目にはフランスの首相であるFrançois
Bayrouは視察に訪れ、なんとか一目見ようと人だかりができていました。本人にとってこれでは視察どころではないことは言うまでもありません。
HEC ParisのVivaTechへの関わり
前述の通り、HEC
Parisはフランスをはじめ世界のイノベーション・エコシステムに人材と環境を輩出・提供しています。2024年のレポートでは、MBAや他のコースも含むAlumniから16のユニコーン企業が生まれています。

VivaTechでは、HEC内で関連する活動を主導する組織である、Innovation &
Entrepreneurship (I&E)
Institutesが主導し、L’OrealとのセッションやAIに関するワークショップ、支援スタートアップのピッチコンテストなどが行われました。
ピッチセッションの審査員には、1月入学のMBA生が受講するマーケティングクラスの教授も名を連ねており、産学の結びつきの強さも感じることができました。
また私個人としては、MBA Entrepreneurship
Clubのプレジデントとして、VivaTechへの参加事前セッションをI&E
Institutesのメンバーと実施し、MBAコミュニティへの知見還元を行いました。VivaTechという一つのコンテンツを通じて、自由度をもった活動を設計できることもMBAの一つの魅力ではないでしょうか。