受験体験記30 製造業・社費

基本情報

入学月:2021/9

出身業界:製造業

留学形態:社費

英語・海外経験:海外出張、海外旅行

受験校:HEC Paris, Kellogg, CBS

合格校:HEC Paris

TOEFL提出スコア:105

GMAT提出スコア:324 (GRE)

HECへのキャンパスビジット:なし

入学時の年齢:34

家族帯同:あり(妻+子1人)

 

Why MBA?

(1)     アドミ用

入学前より家業に勤めており、将来会社を経営することを見据えた際に、今一度マネジメントに関する知識を棚卸しし、実際に活用できるものにしたいと考えたことが一番大きな理由です。家業自体はほぼ日本で生まれ育った従業員の方々と行っていますが、ビジネスを海外へ拡大する、海外にある工場を巻き込んで成長する等も今後必要であるため、その観点から様々なバックグランドを持ったクラスメイトが集まる海外MBAを志望しました。

(2)     本音・個人的理由

アドミ用と基本は同じ理由になりますが、付け加えるとすると、海外で生活をしたことがなく、英語を使って勉強したり仕事をしたりする経験も乏しかったため、日本以外でも、そして英語でもやっていけるんだという自分に対する自信をつけるために海外MBAにチャレンジしました。

 

Why HEC?

(1)     アドミ用

家業がアパレル関係であり、マーケティングやブランディングに加え、ラグジュアリービジネスに触れることができるため、HECを志望しました。授業外では、フランスということで、ファッションにも触れることができるため、その点もHECを志望した理由になっています。

(2)     本音・個人的理由

一般的なMBAが提供しているクラスに加え、ファミリービジネスについても学びたかったため、そういう点でKelloggCBSを志望していました。一方HECにはそのようなクラスはないのですが、アントレ気質がある学校であり、Advanced Management等、マネジメントに焦点を当てたコースも用意されているため、会社経営という意味ではHECもフィットすると考え、志望しました。

(MBAで学ぶファミリービジネスは、どうやって世代交代するか、親族が社内に複数いるときの対立をどうコントロールするか、家族間の資産はどう管理するか、という内容に焦点が当たるため、会社経営とはまた異なるジャンルのクラスです)

 

受験スケジュール(社内選考含む)

20156月 漠然とMBA受験を考え始め、AGOSTOEFL対策コースを受講

2016年 TOEFLコース終了とともに、モチベーション低下を理由にしばらく中断

2017年 英語基礎固めのため、Y.E.S.の文法コースとリスニングコース、Affinity英語学院のロジカル英文法コースを受講

20182月 MBA受験を本格的に目指し、AGOSMBA出願Strategyコース、濱口塾のGMATコース受講

20184月 E4TG受講

20185月 TOEFL出願スコア取得105 (R29 L28 S22 W26)Affinity英語学院のGMAT戦略コース(SC, CR, RC, Math)を 順次受講

20186月 GMAT1回目620点ほど、スコアキャンセル、江戸義塾のEdにペースメーカーとしてコンタクト開始

201810月 GMAT2回目680 (V37 Q47 AW5.0 IR 7)

20192月 GMAT3回目 600点ほど、スコアキャンセル。MBA受験を2019年度のラウンドに決定

20195月 Jessica Kingにコンタクト、メインカウンセラー契約、江戸義塾のEdとサブカウンセラー契約

201910月 HECTokyo Info Sessionに参加、GMAT4回目 650点ほど、スコアキャンセル、GRE受験を検討

201912月 GRE出願スコア取得324 (V160 Q164 AW 3.5)

20201月 HEC, Kellogg, CBS出願、インタビュー対策として、Matthew Aldridge, Steven Greenにコンタクト

20202月 HEC, Kelloggインタビュー実施

20202月中旬 HECオファー受領

20207月 コロナの状況を鑑み、20219月入学に変更

20219月 HEC 入学

 

利用した予備校、カウンセラーなど

TOEFL

初回の受験は80点台のスコアでしたが、リーディング以外はどれも勘所もない状態でした。高校以降、体系的に英語を学んだことがなかったためにスコアが伸び悩み、基礎からやり直すことを決め、Y.E.S.の吉井先生とAffinity英語学院の飯島先生の下、英文法から学び直しました。両先生とも豊富な知識と教育熱心な気質をお持ちで、授業は毎回新しい発見があり、GMATSCにもつながる講義であったため、この受講を機に英語を深く理解できるようになりました。リスニングはY.E.S.のリスニングコースでディクテーションを行ったほか、空き時間でBBCニュースやVOAを聞いてシャドーイングや脳内シャドーイングを行う等、地道に英語に触れることを積み重ねました。少しずつ聞き取れる単語が増えるにつれて、スコアも安定するようになりました。スピーキングはE4TGに通い、テンプレートを使って回答できるように練習することで、20点台までスコアを伸ばすことができました。ライティングは、リスニング力を伸ばすことで克服でき、あとはAGOSで提供されるテンプレートを元に回答することで20点台後半を取ることができました。

GMAT, GRE

個人的にはTOEFLが終わってからGMATを本格的に学習しようと思っていたため、ある程度TOEFLのスコアメイキングに目処が立ったところで濱口塾を申し込みました。濱口塾の通信講座を一通り進めるも、十分に理解できている感覚が掴めず、Affinity英語学院のGMATコースを受講しました。過去問を使って授業を進める点は濱口塾と一緒ですが、問題の解き方を体系的に学ぶことができるため、個人的には受講してよかったです。解き方を理解することで、何故これが答えなのか、何故これは不正解なのかが説明できるようになりました。さらにRCは、問題の形式に応じて本文中で参照すべき箇所が特定できるため、解法を知っているだけで大幅な時間短縮が可能になりました。

ただ私自身はどうしてもMathの点数を揃えることができず700点に到達しなかったため、最終的にGREも受験しました。よく言われるように、GMATの勉強をしていればGREの問題もほぼ同じ要領で解くことができるため、GRE対策は英単語学習のみ行いました。私の場合は、GRE Vocabularyというアプリを使いました。最終的なGREスコアはGMATでの取得スコアと換算して同等であったものの、GREスコアを学校へ提出しました。

エッセイ・推薦状

私自身、家業を継ぐからというだけで漠然とMBAを志望していたこともあり、その思いの具体化や過去の経験の洗い出しに時間がかかると考え、スコアメイク完了前の段階でしたが、江戸義塾のEdにコンタクトを取ったりAGOSの出願Strategyコースを受講したりすることで、エッセイのネタ出しを開始しました。2019年度出願を決めてからは、Affinity英語学院で面識のあったJessica Kingにコンタクトを取り、メインカウンセラーを依頼しました。彼女の強みは的確にダメ出しをしてくれる点で、「こんなエッセイは読むのが時間の無駄だよ」、とこれ以上ない分かりやすいフィードバックをもらうことができます。またコミットメントが非常に強く、どんなときでもすぐに連絡を返してくれ、レビュー結果を送ってくれます。私自身、ちょうど2019年の10月に家業に転職しており、家業での実態を把握しつつ急ピッチでエッセイのネタを出したのですが、彼女のコミットメントのおかげで1-2ヵ月でエッセイから推薦状までを完成させることができました。Edにはサブカウンセラーをお願いし、Jessicaと完成させたエッセイを見てもらい、学校の傾向に合わせて微修正を行いました。他の方も書いていましたが、私たちが受験した際のHECのエッセイは質問数も多く、他校のエッセイを書く際の土台になるものが多かったです。そのため、まずHECのエッセイを完成させることで、他校のエッセイ作成をスムーズに進めることができたと感じています。

インタビュー

英語の実践経験がなかったため、JessicaEdに加え、モックインタビューで有名なMatthew AldridgeSteven Greenともコンタクトを取り、回数を重ねました。HECは出願からインタビューまでの期間が短かったため急ピッチでの準備となりましたが、基本的な質問とそれに対する回答をまとめ、あとはひたすら自然なスピードで話せるように練習しました。途中Jessicaからは話すのが遅すぎるという指摘を受けたことで、色々と考えるよりもとにかく話すことも大事だ、という気持ちの切り替えができ、それ以降は上手く話そうとするのではなく、なるべくペースを乱さないように心がけました。私のケースもHEC2回のインタビューでしたが、お二人とも日本人の方で、卒業後2年の方と10年の方とお会いしました。インタビューのフォーマットは、まず自分の好きなことについてのプレゼンテーションを行い、それについての質問をいくつか受けた後、なぜMBAなのか、なぜHECなのかといった質問に回答するものでした。私の場合はプレゼンテーションの内容と過去の経験が紐づいていたため、プレゼンの内容に基づいたBehavioral Questionが多かったです。個人的な印象としては、HECのインタビューでは、このプレゼンでどれだけ人となりを表現できるかが重要に感じましたので、プレゼンを通して伝えたいメッセージを明確にしておくことをおすすめします。また、インタビューは終始フレンドリーな雰囲気の中で行われ、特に私の受験時はHECMBAランキング順位が急浮上した年だったため、その話で盛り上がりました。

 

実際に入学してみてどうか

(MBAについて)

コロナ禍であったものの、入学時点でほぼ全ての授業が対面で行われ、グループワークもスタディルームに対面で集まって実施することができました。他の方の体験記にもありますが、HECには多様なバックグランドを持った学生が集まっており、出身国はもちろんのこと、出身業界や企業もさまざまです。個人的には出身企業は特に多様性に富んでいると感じており、世界的に有名な大企業から各国に根付いた中小企業まで、様々なキャリアを歩んできた学生が在籍しています。入学するタイミングによって出身国のバランスは多少変動し、年によっては同期50人がインド出身の学生、同期2人が中国出身の学生、ということもあります。

授業についてですが、Term1Term2では基礎科目を広く学習します。どの授業もケースとレクチャー、そしてグループワークがよく合わさったスタイルで運用されています。一般的な授業モデルは、予習としてケースを8-10ページほど読み込み、授業で内容を議論、レクチャーを受ける、そしてグループワークとして取り組むテーマを決め、グループごとにプレゼンテーションを行うといった形式です。個人でのレポート提出も授業によってありますが、大体2ページ程度を2-3回提出することが多いです。ケースはフランス企業に焦点を当てているわけではなく、様々な企業が扱われます。Term3からは個人でテーマを決めて取り組むMBAプロジェクトや、選択科目を履修することになります。選択科目では、ラグジュアリーに焦点を当てたクラスやAI・データマネジメント、M&A等、より個別トピックを深堀りしたものになっています。

その中で、フランスならではだと感じるのは大きく2点です。まず1点目ですが、リーダーシップのクラスでは実業家を招いてセッションを行うものが多いですが、この方々の多くはフランスで成功された方たちなので、フランスに根差した考え方を学ぶ場面があります。一番印象的だったのは、リーダーシップの話の中にナポレオンが登場したことです。人材活用でナポレオンの考え方が使われることは知っていましたが、実際に例として聞くことができるのはフランスのMBAだからこそと感じました。2点目は、ラグジュアリーブランドをより深く理解できるという点です。当該クラスは必然的にフランス企業を多く取り扱いますが、ラグジュアリーブランドを成り立たせるためには、アートや食生活といった文化そのもの、またその文化が人々の生活にどれくらい浸透しているかが1つの要素となります。そういう意味で、ラグジュアリーブランドとフランスの文化は切り離せないものであり、その両方をフランスで学ぶことでより深くラグジュアリーブランドを理解することができます。また、実際に題材となった店舗を見に行ける、日常の一コマとして美術館に気軽に行ける、というのもフランスで学ぶことの大きなメリットの1つです。

(フランス生活について)

学業以外の生活では、私も家族帯同で来ており、キャンパスで生活しています。キャンパス内では同級生の家族とファミリールームで過ごしたり、映画鑑賞会を楽しんだり、家族で参加できるイベントに行ったり等、家族で来ていても楽しめることが沢山あります。子供の教育につきまして、フランスでは3歳から義務教育であり、私の子供も無料でキャンパス近くの学校に登園しています。そこでの授業(絵を書いたり、シールを貼ったり等、手先を使ったアクティビティが多いです)は基本フランス語で行われますが、英語の授業もあるようで、両言語に触れることができる環境は大変貴重だと感じています。

キャンパス外を移動しようと思うと、公共交通機関かuberでの移動がメインになりますが、子供と荷物を持っての移動は大変ですので、私自身は車をリースしています。車を使えばパリ市内に30-40分程度で行けますので、比較的楽に移動できます。車での旅行もできますので、特にご家族帯同でいらっしゃる方々にはおすすめです。

受験生へのメッセージ

MBA受験中はテストやエッセイ、インタビューで悩むことも沢山あると思います。途中で投げ出したくなることもあるかもしれませんが、そんな時は何故MBAを取得したいのか、その先にどんなワクワクする将来が待っているのかを思い出してください。どんな困難があっても、それらの目標が逆境を乗り越える力になってくれるはずです。

また、ビジネススクールに入学しても、そこで重要なのはコミュニケーションであり、そのベースとなるのはそれぞれの個性です。MBAの学生はバックグラウンドが多様なだけでなく、踊りが上手な人、バンドを組んでライブをする人、自分で作曲して歌う人、料理が上手な人、旅行が好きな人等、趣味もさまざまです。MBA受験中は勉強やエッセイ作成等に集中することになってしまうかと思いますが、息抜きも忘れないようにしてください。自分は何が好きなのかを明確にしておくことで、MBA生活はより実りあるものになると思います。皆さんにお会いできること、楽しみにしています!

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