受験体験記24 独立行政法人・社費
基本情報
入学月:2021/9
出身業界:独立行政法人
留学形態:社費
英語・海外経験:学生時代のインターンシップ(フランス3カ月)、国際学会、出張、旅行
受験校:HEC Paris, Sciences
Po (MPA)
合格校:HEC Paris
TOEFL提出スコア:102
GMAT提出スコア:680
HECへのキャンパスビジット:あり(2018年秋)
入学時の年齢:32
家族帯同:あり(妻+子2人)
Why MBA?
(1)
アドミ用
派遣元の独立行政法人では産官学の研究開発プロジェクトのマネジメントを行っています。私は社会人になる前は、理系の大学院で博士号を取得するまで研究をしていたため、「学」の研究者の感覚や人脈はある程度有していましたが、「産」「官」の知識・人脈は十分にないと感じていました。そこで、派遣元で管理職になる前に、短期間に経営学や政策立案手法を体系的に学べ、同時に国内外の人脈を得られ、かつ語学力も磨ける手段として、MBAとMPA(行政学修士)のDual Degree Programを提供している海外大学院への留学に興味を持ちました。
(2)
本音・個人的理由
学部生の時から、研究室には海外からの外国人留学生やポスドクが多数おり、自分もいつかは海外留学をして自分を試したいと考えていました。その後、大学院時代には国際学会での発表やフランスでの3カ月のインターンシップも経験しましたが、長期の海外留学には至りませんでした。就職してから海外出張に行った際に、何人か博士号+MBAの肩書を持つ人を見かけたこともあり、専門的な博士号をすでに取得した上で新たに学位を取るのであれば、ジェネラルに学べるMBAがよいだろうと思っていました。また、年齢の割に社会人経験年数が少ない身としても、MBA留学であれば、CVの中でブランクではなくプラスと見なされると考えました。
Why HEC?
(1)
アドミ用
社費の制約で留学期間は最大2年間であり、当時調べた限りでは、合計2年以内で同様のDual
Degree Programを提供していたのはHEC
Paris+Sciences PoとスペインのIE
Business Schoolだけでした。
HEC Parisに不合格だった場合にはIE等も受験するつもりでしたが、合格したため他のビジネススクールは受験していません。一方で、Sciences
Poは不合格になったため、結局はDual
Degree Programはせずに、HEC Parisにフルで在籍する予定です。
(2)
本音・個人的理由
MBA受験を考え始めた時には、MBAと言えばアメリカという意識があったのですが、情報を収集しているうちに、アメリカのMBAはインターナショナルを謡いつつもアメリカ人比率が高く、基本的にはアメリカ人又は卒業後もアメリカで働き続けたい人のためのプログラムという印象を持ちました。社費生であることもあり、修了後は基本的には日本に戻るつもりで、むしろ在学中に多様なバックグラウンドの学生とのネットワークを構築したいと思っていたので、平均的に学生のダイバーシティが高いヨーロッパのMBAにフォーカスすることにしました。一方で、ヨーロッパのMBAは1年制が多く、せっかく行くのであれば約1年半~2年は行きたいと考えると、候補となるスクールはかなり絞られました。その中でもHECを選んだのは、上述のDual
Degree Program、ダイバーシティに加えてキャンパスがパリ郊外にあるというのが決め手になりました。学生時代のインターンで3カ月パリに滞在した時にパリの街やフランスのことが気に入り、将来いつか戻ってきたいと思っていました。当時は単身で渡仏していましたが、MBA受験時代にすでに子どもが2人生まれていたため、HEC Parisに合格することで今度は家族にもフランス生活を経験させたいというのがモチベーションの一部になっていました。
受験スケジュール(社内選考含む)
2017年5月 アメリカ東海岸のスクールを非公式に訪問
2017年夏 アゴス夏祭り、The MBA tour Tokyo、QS World MBA Tourなどのイベントで情報収集 ヨーロッパMBAにシフト
2018年2月 TOEFL1回目94 (R29 L26 S18 W21)
2018年5月 社費応募1回目、TOEFL2回目93 (R29 L23 S19 W22)
2018年7月 GMAT1回目620 (V25 Q49)、TOEFL3回目94 (R29 L28
S20 W17)、TOEFL4回目91 (R26 L23 S19 W23)、社費不合格
2018年8月 Andyさんの勉強会に参加
2018年10月 HEC・Sciences Poキャンパスビジット、HECの学校説明会@東京に参加 IELTS1回目7.0 (R8.5 L8.5 S5.5 W5.5)
2018年11月 E4TG Speaking
2018年12月 E4TG Writing、TOEFL5回目97 (R28 L24 S23 W22)
2019年2月 TOEFL6回目101 (R30 L28 S19 W24)
2019年5月 社費応募2回目
2019年6月 TOEFL7回目102 (R29 L28 S22 W23)
2019年7月 社費合格
2019年8月 GMAT2回目630 (V27 Q49)
2019年9月 濱口塾通信コース開始
2019年10月 第2子誕生に伴う育休取得(~2020年3月)、HEC の学校説明会@東京に参加、HECアドミとの1 to 1 meeting
2019年11月 GMAT3回目620 (V26 Q49)
2019年12月 Sciences Po エッセイ・推薦書作成→12月末Sciences Po出願
2020年1月 GMAT4回目680 (V31 Q49)、HECエッセイ・推薦書作成→1月末HEC出願
2020年2月 DMM英会話開始、Sciences Po不合格、HEC書類選考通過、インタビュー準備
2020年3月 HECインタビュー×2 → S20 intakeで合格 → パンデミックの状況を踏まえJ21 intakeにデファー
2020年11月 フランスが2度目のロックダウンを開始したため、S21 intakeに再度デファー
2021年9月 HEC 入学
利用した予備校、カウンセラーなど
TOEFL
初回の受験で94点が出たためSとWを上げれば100点は出ると甘く考えてしまっていました。その後、市販の参考書で勉強して3回受験をしたものの点数が上がらず、我流の勉強に限界を感じたため、Andy田開氏の勉強会とE4TGを利用しました。TOEFLの効率のよい勉強の仕方を知りたい方にはAndy田開氏の勉強会はお勧めです。SとWが向上したのはE4TGのおかげです。Wは別のサービスでもよい気がしますが、SはE4TG以外にほぼ選択肢がないかと思います。合計100点を超えて各セクションのバランスも悪くない点が取れた時点で受験を終了しました。TIPSとしては、試験前日は9時間寝るとリスニングでの集中力が途切れませんでした。IELTSも一度だけ受験してOverall 7.0が出ましたが、R,LとS,Wのバランスが悪く、S,Wを上げるならTOEFLの方がシステマティックに対策できると感じたため、その後はTOEFLのみを受験しました。なお、HECはTOEICでも受験が可能なようです。
GMAT
初回を試しに受けた約1年後に、社費に合格してから1カ月程度GMAT Official GuideでVerbalを勉強して2回目に臨んだものの、TOEFL同様に我流では点数がほとんど伸びなかったため、濱口塾通信コースを利用しました。通学よりも費用が安く、時間を選ばずに繰り返し受講ができた点は育休中の自分にあっていました。また、GMATレベルの単語力が不足していたので、隙間時間にアゴスの単語帳アプリで覚えるようにしていましたが、単語帳アプリについてはより良いものがあるかもしれません。濱口塾の通信コース開始から約2カ月でVerbalコースを1周して臨んだ3回目ではむしろ点数が下がってしまいましたが、その後Verbalの2周目、3周目を終えたころには自分でも手応えがでてきて、Prepでも700超えがとれるようになってきた時点で4回目を受講したところ680が得られました。HECアドミからの正式出願前のフィードバックでは630でも出願して構わないと言われていたので、4回目で点数が上がらなければそのまま出願してしまうつもりでしたが、ギリギリのところで点数が上がりました。経験上、本番はPrepでの点とほぼ同じかやや低い点数が得られる感覚なので、個人的には、本番を無駄打ちせずPrepで目標の点以上が取れてから受験することをお勧めします。
エッセイ・推薦状
GMATの勉強と並行して1カ月程度で準備しましたが、育休中でしたので通常業務中であればもう少し時間がかかったように思います。HECはエッセイの文量が多く、エッセイの質が合否に与える影響が大きいと感じていたため、HECが求める学生像の要素をエッセイ全体で網羅できるように意識して執筆をしました。また、HECアルムナイからの評判が良かったことと、価格が他のカウンセラーと比較してリーズナブルであったことからLauren UnikにStandard Editingを依頼しました。タイムリーに的確な指摘をもらえたので非常に感謝しています。
インタビュー
出願直後にDMM英会話に申し込み、インタビューに向けて口を慣らし始めました。約1週間で書類通過の知らせが届いたため、そこからインタビュー内でのプレゼン用のスライドを作成しました。インタビュー対策ではカウンセラーは特に利用せず、モックインタビューやスライドの添削もDMM英会話の中で講師に依頼して、直前期は複数の講師と繰り返し実施することで、コストパフォーマンス良く対策ができた気がしています。インタビュー1回目はロシア在住の中国人アルムナイとSkypeで、2回目は東京在住の日本人アルムナイと対面で実施しました。
実際に入学してみてどうか
受験スケジュールにも記載したとおり、当初は2020年9月入学の予定でしたが、家族帯同予定であったこともあり、フランスのコロナウイルス感染拡大状況を踏まえて2度入学を延期し、当初予定から1年越しで2021年9月に入学をしました。特に2度目のデファーの時には(あまりにデファーを繰り返すとモチベーションが低下しかねず、家族のライフプランにも影響が及ぶので)デファーをすべきかどうか非常に悩みましたが、入学してから基本的に授業は対面で行われており、ネットワーキングイベントも制約はありつつも実施・参加ができているので、結果的にはデファーをして良かったように思っています。学生のダイバーシティも想定通り高く、スタディグループでのディスカッション、各国の学生が企画するカルチュラルイベント、友人とのインフォーマルなディナーなどを通じて多くの刺激を受けることができています。
授業はTerm1が終わり、Term2が始まったところですが、HECの授業は理論と実践のバランスがよく、ビジネスの前提知識が少ない自分にとっては、Term1は基礎から学べるコースになっていたのもよかったです(ケース偏重型のスクールに入学していたらもっと苦労していたような気がします)。Term2はコマ数が多くTerm1よりもさらに予習復習のマネジメントが大変になっていますが、業務に取り入れられるような実践的な内容も増えてきているので、楽しみながら受講しています。
また、家族帯同者としては、家族(特に子ども)がこちらでの生活になじめるかというのも心配していたところではあるのですが、幸いにも同期や前後のintakeにキャンパス在住の子連れ日本人家族が複数組いて、一部は同じ現地幼稚園に通えており、キャンパス内に子どもが遊べるファミリールームや遊具スペースもあることから、思っていたよりも早くこちらの生活に慣れて、楽しんでくれているのは非常に有難かったです。ただ、子連れキャンパス住まいだと、思っていたよりもパリに行くハードルが高く、まだパリの街をあまり楽しむことはできていません。Term3, Term4でもう少し時間に余裕が出てくれば、パリに行く機会も増やせるかなとは考えています。
受験生へのメッセージ
就活に少し似ていますが、受験生である立場を生かして、様々な学校のアルムナイや現役生、アドミに話を聞いて、積極的に生きた情報を得ることをお勧めします。私も結局受験しませんでしたが、IEもDual degree programを提供していることは、あるイベントでHECのアルムナイから聞いて初めて知りました。(それまではIEは1年制と思い込みスコープから外していました)。その後、IEのイベントにも参加したり、キャンパスビジットもしたことで、今でも交流の続く受験生仲間ができました。こういったことができるのは受験生の特権であるように思います。仕事や育児をしながらの受験勉強は大変なことの方が多いと思いますが、MBA留学はそれだけの時間やコストを払ってでも、経験する価値があるものであることをHECに来て実感しております。皆様の受験の末によい結果が訪れることを心よりお祈りしております。