Specializationについて②(Sustainable and Disruptive Innovation)

今回は、Sustainable and Disruptive Innovation Specialization (以下SDI)について、紹介します。 
18人のクラスメイトのうち、日本人は私一人でした。マジョリティはアメリカ人で、ダブル国籍も合わせると7名いました。また、一部の授業はYale大学のEMBAと合同なので、Yaleから7~8名参加して、週1回ハイブリット形式(HEC MBAは教室でf2f、Yale EMBAはオンライン)で、一緒に議論をしていました。 

授業の内容

SDIは、コア(バックボーン授業)の他に6つの授業から構成されていますので、簡単に紹介させて頂きます(主観たっぷりですが、最後までお付き合いください)。 尚、SDIは、2年前に開講されたばかりなので、毎年講座内容をアップデートされているのであくまで今年の内容としてご理解下さい。 

1. Changing Business Environment (バックボーン授業)

この授業を”コア”や”バックボーン”と呼んでいました。 今後どのようなビジネス変化が起きるのか、どのようなFactorが経営に脅威を与えるのかについて、様々な観点から学ぶ授業です。
18人を5つのグループに分け、グループ毎に、今後30年間でフランス企業がサステナビリティの点で取組むべき課題や、事業存続のためにどのような脅威に備えなければいけないのか等について、3か月間かけて考え、授業最終回でその企業の社員の前でプレゼンをします。 各企業の担当社員を数名アサインしてもらえるので、グループ毎にMTGなどを設定し、担当社員から直接話を聞くことができます。

2021年は下記の5つのグループに分かれました。
  • Danone
  • Amazon France
  • Microsoft France
  • Airbus(defense)
  • Airbus(Commercial)
補足①このバックボーンの企業は、他の6つの授業のグループワークにも連動しているので、Term中は、すべて同じメンバーで、且つ同じ企業について準備します。 

補足②このバックボーンの授業のみ、Yale大学EMBAとの合同だったので、各グループにYaleから1人ずつ、リモートでプロジェクトに参画していました。ただし、「リモートはプロジェクトへの貢献度が落ちるため、来年は形式を変えた方がいい」というクラスメイトからのフィードバックが多く出ていましたので、来年以降は形式が変わるかもしれません。 

2. Crisis and Opportunities

Termが開始した一番最初の週に、3日間かけてゲーム式でCrisis Managementについて学びました。
ゲームでは、次々に想定していない”Crisis”が仕込まれており、どのようにそのCrisisに対応していくかを学ぶことができます。ネタバレ防止のため、詳細は割愛させて頂きます。

教授はHECのEMBAも教えていたり、過去にH&Mや食料品メーカー(名前忘れました)のCrisis managementの戦略プロジェクトを担当していたりと、知識・経験ともに豊富な方だったので、授業中の話も現場感があり、面白かったです。

3. Social Responsible Investing

投資プロセスにおける環境とガバナンスの重要性や、最近の傾向について学びました。
Black RockのCEOの発言から、昨今の投資運用におけるサステナビリティの重要性を紐解いたり、 フランス(+イギリス)とアメリカのCSRの違い、イギリスの資産運用会社のESG投資の歴史などを扱いました。

4. Triple Impact Innovation

経済・社会・環境の3つの観点で社会にポジティブなインパクトを与えるイノベーションについて学びます。
授業では、トリプルインパクト戦略の実行と収益化についてケースを使って学んだり、起業家のゲストスピーカーを招いたりしました。
伝統的な大企業の新事業の取組や途上国での起業などについて、イノベーションの創出とそれを評価するためのアプローチを学び、最終課題では各自でTriple impact innovationをゼロから考えました。

5. Strategically Sustainability

企業のサステナビリティ戦略について学びます。
ほとんどの授業に企業のサステナビリティ担当者が、ゲストスピーカーとして来てくれていました。 事業の特徴がそれぞれ異なる企業なので、多種多様な”サステナビリティ戦略”を聞くことができただけでなく、フランス企業の経営において、いかにサステナビリティが重要視されているのかを実感することができました。

ゲストスピーカー企業例:Dell、L’Oréal、、Danone、Renault、Schneider、Camif等

6. Climate Finance

気候変動やエネルギー転換の政策がもたらす影響やそのビジネスリスクについて学びます。 製造業や運輸業のCO2排出が社会経済にどのように影響を与えるのか、CO2削減はどのように優先順位をつけて取り組むべきか、京都議定書とパリ条約の位置づけ等を取り扱いましたが、取り扱うトピックについては、教授がサステナビリティのエネルギー分野のコンサルを長年経験していた為、エネルギー関連が中心でした。

7. Sustainable Operations & Supply Chain

オペレーションやサプライチェーンの観点でサステナビリティについて、学ぶ授業です。 授業の議論では、サステナビリティなオペレーションという観点で、基本的な製造業の自動化から、女性の生理(就労への影響・途上国の状況など)まで、様々なトピックを扱いました。

余談ですが、担当教授のSamは、Excellence awardやBest Professor賞を受賞している名物教授です。クセのある性格ですが、私としては、フランクで話がとても面白い印象を受けています。HECのDean MasiniとはINSEADのPh.D.繋がりで、2人でケースを作ったりしています。 

SDIを選択した理由と実際に受けてみた感想

もともと、MBAでは経営学全般だけでなく、αとして、サステナビリティを学びたくて、Cambridge、ESADE、HECの3校を志望していたくらいなので(IEのSustainability MasterのDual degreeも検討)、SDIを選択しました。
サステナビリティは今後さらにホットトピックになると思うので、個人的な興味だけでなく、企業経営の観点でも、授業を取っておいて良かったと思います。サステナビリティが特に進んでいる欧州で勉強ができたことを、帰国後のキャリアにいつか活かせたらいいなと思います。

 良かった点

・アットホームなクラスだったこと!
18人のクラスだったので、クラスメイトや教授との距離が近く、顔と名前だけでなく、性格もだいぶ知れるようになりました(人数は来年度以降保証できないです。。。特に、ホットトピックなので、サステナビリティに関連に関心を持っている生徒は多くなっているそうです)。

 注意点

・課題や事前準備が多いこと!
テストがない分、10月・11月は常にグループプレゼンや個人ケースエッセイなどに追われていました。その時期は、MBA生用の採用をしている企業や年明けのインターンシップなどの選考時期と重なるので、私も含めて、クラスメイトはそれぞれ時間管理に苦労していました。また、クラス人数が少なかったので、事前にケースを読み忘れた時は悲惨なことになりました。

・ファイナンス関連の授業は少ない
私個人としては、ESG投資分析やグリーンファイナンスなど、ファイナンスに関する授業をもう少し欲しかったのですが、Climate Financeで少し取り扱ったくらいでした。同じようなフィードバックは他のクラスメイトからも出ていたので、来年以降に期待です!


以上が、SDIについての説明です。ご参考になれば幸いです。

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