在校生インタビュー Part1(ブラジル・金融業界出身)

HECのクラスメートや学校生活の雰囲気を伝えられればと思い、クラスメートと対話する企画を始めました。HECは多様性が一つの大きな特徴なので様々な地域や職種の生徒にインタビューをしたいと思います。まず第一回は、ラテンアメリカ出身、金融バックグラウンドのNataliaからです。


Natalia Jesus2019 September Intake

ー今日は時間を取ってくれてありがとう。HECの多様性を日本の受験生にも伝えられればと思い、今回はブラジル出身で経験豊富なNataliaに声をかけさせてらいました。

声をかけてくれてありがとう。

■バックグラウンド

ーまず簡単にNataliaのバックグラウンドについて教えてもらえるかな。

最初はBoa Vista Serviçosというクレジット情報会社で働き始めたんだ。この会社のことを簡単に言うと、借り手の信用能力を評価する会社ね。私はBoa Vista Serviçosの中でも企画部門にいて、財務結果を分析して取締役に報告したり、次年度の予算計画を立てる業務を行っていたよ。

ー2社目の会社、Phoenix Tower Do Brasilはブラックストーングループの会社だよね。コーポレートファイナンスの授業で扱ったAntinのような通信インフラをPEビジネスとしてやっている会社なのかな。

そうそう、同じようなビジネスモデルなんだ。ブラックストーンが通信タワーを建設し、Phoenix(ファンド)が通信タワーのオペレーション管理を行うという役割を担っているの。そのPhoenixでは戦略企画部門で働いていたのだけど、新しい通信タワーを購入するとか、コアビジネスに関連する事業を買収するといったことをやっていて。その他にもファイバーネットワークを都市に張り巡らせて、そうしたネットワークを通信会社に貸し出すというビジネスもやっていたかな。

 

Why MBAWhy HEC

どうしてMBAを希望したのか。また、その中でどうしてHECを選んだのかを教えてくれるかな。

私はブラジルの大学在学中のインターンシップで2年間はマレーシアで働いていたのだけど、それ以外はブラジルに住んでいたのね。MBAを選択したのは国際経験をもう一度積みたいと思ったことが理由の一つかな。また、私はMBAに来る前に既に10年近く働いていたのね。だから自分のキャリアを再評価したかったの。このままの仕事を続けるのか、何か変化をつけるのか、を考えたの。ちょうど私は大きなプロジェクトを終えた所だったし、1-2年のオフを使って何か新しいことを学びたい、そして次の10年、20年を考えたいと思ったの。

何故HECなのかという点だけど、私はヨーロッパのスクールしか見てなくて、米国スクールは見てなかったわ。理由はいくつかあるんだけど、一番大きいのはフィット感ね。複数オファーをもらったけど、HEC16カ月という期間がちょうどよかったの。そして卒業後に欧州で働く上で、HECは欧州の中でネームバリューがあるでしょ。他にオファーをもらった学校はラテンアメリカで強いプレゼンスはあったから、MBA後にブラジルに帰るならメリットはあったんだけどね。それよりも新しい言語を学びたかったということ、ラテンアメリカの文化以外で私があまり知らない国を知りたかった、というのがHECを選んだ理由ね。

ー米国スクールを選ばなかった理由についてもう少し教えてくれるかな。

米国の学校は学生の年齢が若くて。私は既に30歳を超えていたので、そもそも年齢でRejectされる可能性も高いのかなと思ったんだ。実際のところはわからないけどね。私はラテンアメリカの女性というバックグラウンドだけど、ラテンアメリカの人間は米国スクールにアプライしている人も多いので、差別化が難しいと思ったの。それに私は海外で働きたいと思っていたのだけど、欧州の方が米国よりも外国人を採用することに対してオープンだと感じているわ。米国スクールに通っていた私の友人は、MBA卒業後みんなブラジルに戻ってきたの。それに米国スクールは米国の学生にフォーカスを当てていると聞いていたのよね。米国スクールではクラスメートに外国人もいるけど、その多くは既に米国に何年も住んでいて、ほぼアメリカ人だというケースが多いと聞いたんだ。インド国籍を持っていたとしても、実際には3歳の頃に米国に移り住んできた人とかね。HECはフランス国籍外の割合が10%未満だけど、米国のスクールはその逆よ。私は国際経験を積みたいと思っていたけど、米国スクールではそのニーズを満たすことはできないと思ったのが米国スクールを選ばなかった理由かな。一方でHECはすごく国際化されていると感じたの。フランスだけでなく、アフリカや韓国からも学生がくる。でも米国の学校だと、「アメリカ大陸の色んな地域から来ているという程度になってしまうの。

 

HECに入学して感じたこと

実際に入学した後、感じたことは何かあったかな。特に面白かったことや印象に残っていることがあれば教えてくれるかな。

クラスは国際化されているというのはやっぱり感じたし、それは好きだなと思った。色んな国から生徒が来ているし。あと、キャンパスも好き。ブラジルでは大学の中に住めるような寮は用意されていないから、面白い経験ができているなと感じている。特にキャンパスがこれだけ広いというのは魅力的だよね。HECにはMBATもあるし、MBATがあるからHECに来てるという学生もいるみたいだしね。また、サンシールのトレーニングがあるのは他の学校との重要な違いだと思うかな。軍隊の経験なんてないんだけど、3日間でどんなことをするのかはすごく楽しみ。

ー逆にHECに来て、或いはフランスに住んでみて苦労したことはあったかな。

学校は学生とのコミュニケーションがあまり上手くないなと感じたかな。このことは特に今みたいな状況(※コロナ)では非常に重要だと思う。また、キャリアイベントについても少し改善して欲しいかな。HECはグランゼコールの知名度が高いので、ある程度は仕方がないのだけど、キャリアイベントに来る企業のいくつかはフランス語を話せる学生をターゲットにしていると感じてしまって。学校のキャリアサポートも活動を改善しているけど、フランス外の企業を誘致するとか、外国人を採用したがっている企業を呼ぶとか、そういったことを期待したいな。ちなみに、イベントに来た企業からは、「フランス語は話せる?」って聞かれることもあったよ。そうしたこともあって、MBA入学前にフランス語を学び始めておいたら良かったのかなとは思った。フランス語が話せると生活をもっと楽にできるし。歯医者に行くとき、医者に行くとき、フランス語が話せるとすごく楽に話ができるよね。

確かにそうだね。また、学校のコミュニケーションについても本当にその通りだと思う。ただ、僕が思ったのは、コロナでロックダウン中の最中、僕たちのクラスメートのEmricが果たしてくれた役割にすごく感動したよね。彼は学校の学長や事務局とコミュニケーションを取り、キャンパスで何をしてよいのか、何が禁止されているのか、を僕たちにFBしてくれたり、掲示板を立ち上げてFAQを整理してくれたり、すごく精力的に活動してくれたよね。

そうよね、あれはすごくありがたかった。みんな不満がたまっていたからEmricがいなかったらもっと多くの問題が発生していたと思う。

 

■クラブ活動

ーHECではコンサルクラブに所属していると思うけど、具体的にどんなことをやっているのか教えてもらえるかな。

私はコンサルティングクラブでコミュニケーションVPを務めていたんだ。イベントメールの告知などコミュニケーションは私が担っているの。コンサルティングクラブは5人で運営しているので、一人一人が多くの役割を担っていて。ただ、今はプロジェクトも走っていて、Prep-Weekをやっているので少しコミュニケーションは減ったかな。”Prep-Week”というのは、秋前に始まるコンサルティング会社の就職活動に向けた準備のこと。HECのアラムナイを呼んで、「コンサルティングとは何か」という話をしてもらったり、パネルディスカッションでシニアコンサルタントにファームの概要を話してもらったり、ケースクラッキングのトレーニングを行ったり、フィットインタビューを行ったりするの。私はそうしたイベントに来てもらうよう卒業生とコンタクトを取ったりしているよ。HECのコンサルティングクラブを運営できていることはすごくいい経験だと思ってる。私たちの代だけではなく、前の代のクラスメートとコミュニケーションを取ることにもなるし、会社側とも連絡を取り合う必要があるからね。イベントは5人で運営しているし、いくつかの企画は本当に規模が大きくて大変だけど、やりがいがあるよ。

 

■卒業後のプラン

卒業後のプランはどう考えてるのかな。やっぱりコンサルティング業界を志望しているのかな。

そうね。業界についてはやっぱりコンサルティング業界を志望していて。ただ、数年で転職するようなことを考えてる訳じゃなくて、少し腰を据えてコンサルティング業界にいたいと考えているよ。パートナーになるまで考えている訳じゃないけど、少なくとも5年は仕事をしてみたいなと。コンサルティング業務を続けながら、面白いと思える業界や仕事を考えたいと思ってるの。

 

HECのアプリケーションエッセイについて

ーHECのアプリケーションで聞かれたエッセイの内容について少し教えてくれるかな。「Imagine a life entirely different from the one you now lead, what would it be?」という質問があったと思うんだけど、このエッセイについてNataliaはどのように答えたのかな。この記事は日本の受験生も見てくれると思うので、最後にエッセイの参考になるような話も聞ければなと思って。

私は「南仏で作家になっている。」って書いたんだ。とてもきれいな場所だし、南仏は私の好きな場所なの。質問では全く異なるパーソナリティを聞いているので、私の願望として想像的な仕事を書いたの。但し、MBA用のエッセイなので少しプロフェッショナルに見えるようにWhyの部分は修正したけどね。

なるほどね、僕の書いた内容とはまた違ってて面白いね。HECのエッセイは特徴的なので受験生にも参考になればいいね。今日は長い時間を取ってくれてありがとう。

 

(編集後記)

ブラジル出身と聞くとラテン系の人柄をイメージするかもしれませんが、Nataliaはしっかりと地に足の着いた話をするクラスメートで私は一番最初に話をした時に、彼女のラテン系の明るさの中に、まじめな気質も感じたのが印象的でした。そうした彼女のパーソナリティを少しでも伝えられたのなら幸いです。

特に、「何故アメリカスクールではないのか」という点について、現地就職のしやすさという観点で欧州校を選んだというNataliaの考察は面白いなと思いました。私はアメリカ留学をした知り合いが多い訳ではないのですが、確かに米国で現地就職をしているという話は個人的にはあまり聞いたことはないです。特に日本人の場合は概して英語面でのハードルが高く、現地就職は欧州であってもかなりハードルが高いという話もよく聞きます。一方で、HECの日本人卒業生でも欧州の企業に就職されている方はいますし、欧州校の方が現地就職をしやすいというNataliaの話はその通りなのかもしれない、と感じました。

また、HECのエッセイを全然異なる観点で書いているのは面白かったです。「Imagine a life entirely different from the one you now lead, what would it be?」という質問は、HECのアプリケーションの質問の中でも特に変わった内容で、何を聞かれているのかと戸惑う質問だと思います。私は「自分の軸」を聞かれていると考えて、価値観由来で考えられる仕事を書いたのですが、質問の解釈方法は人それぞれなのだと思いました。アドミッションにどのような内容が響くのかはわからないですが、Nataliaや私の解釈が今後の受験生にとって少しでも参考になれば幸いです。

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