TEC ON CAMPUS(リーダーシップ・プログラム)について
S19のYNです。
今回私からは、TEC ON CAMPUSというプログラムについてご紹介させて頂きたいと思います。
TECは正式名称The Executive Committee on Campusといいます。そもそもこれは何かですが、HECのウェブサイトには以下のように書かれています。
The Executive Committee on Campus (TEC) is a mentorship and business-leadership program designed to help students define their long-term personal and professional goals.
…正直、これを読んでもなかなかイメージをしにくいのではないかと思います。
受験生からもご質問を頂くことが何度かございましたので、今回参加者の一人である私から簡単に以下の順でご説明させて頂きたいと思います。
1. TECへの参加方法
2. TECのプログラム内容
3.
参加してみての感想
1.TECへの参加方法
TECは通常のMBAカリキュラムとは独立した半年間のプログラムとなっております。また、プログラムの性質上、学年で24名(1グループ12名×2)と人数が制限されており、参加希望者はMBAプログラムが始まる前にアプリケーションを提出します。
私の場合(19年9月入学)、締め切りは7月末頃でしたので、およそプログラムが始まる1か月ほど前に締め切りが設定されていました。エッセイの質問としては、過去のチームワークやリーダーシップ経験等を問う質問が5つくらいありました(各200 words)。受験のエッセイをいくつかは再利用できるものの、ゼロから作る必要があるものもあり、それなりに時間を要した記憶があります。
最後の仕事の引継ぎや、渡仏準備で忙しい時期でもあるので、このボリュームを見て断念した日本人同級生もいたようです。
ちなみに参加希望者は比較的多かったようで、選考倍率は2~3倍ほどだったようです。
2.TECのプログラム内容
では、TECとはどんなプログラムなのか?
大きくは以下の3つで、それぞれ月1回あります。
a)
担当教授との1 on 1ミーティング
b)
ゲストスピーカー講演
c)
TECメンバーへのプレゼン&フィードバック
(bとcは同日に1日かけて行われます)
a)
担当教授との1 on 1ミーティング
1回1時間、トピックは基本的には参加者が相談したいことについてディスカッションします。教授はメンターとして、様々な角度から深掘りやアドバイスをしてくれます。
私の場合は、自分の強み・弱み、professional goalとprivate goal、等についてディスカッションをしたりしていました。もちろんこうした“カタイ”トピックだけでなく、家族のことや、留学生活での悩み等、なんでも気軽に相談に乗ってくれる存在です。
b)
ゲストスピーカー講演、c) TECメンバーへのプレゼン&フィードバック
授業の無い金曜日or土曜日に、朝から夕方までキャンパス隣のホテルで行います。この日は大きく午前と午後でプログラムが2つあります。
・午前: b) ゲストスピーカー講演
毎月一人、中小企業から大企業まで様々な企業のCEOが来てくださり、経営者としてのマインドセットや今直面している経営課題などについて講演してくださいます。
通常のMBAカリキュラムではカバーしきれない、経営者としてどのような視座・視野を持つべきか、といった点を実際の経営者との対話の中で学ぶことができます。
・午後: c) TECメンバーへのプレゼン&フィードバック
各回テーマが決められており、一人ひとりが5分~10分ほどのプレゼンを行い、それについての質疑応答、意見交換を行います。
例えば「これまでの生い立ちから将来の目標」、「自分の弱み」等、パーソナルな内容にもかなり踏み込んだテーマを扱います。
本当にシリアスなテーマの時は、発表者は涙をこらえ、場にしばらくの静寂が流れることもありました。それくらい、普段のMBA生活では中々知りえない、同級生の深い部分までを知ることができます。
そして一人ひとりが、「なぜ今この場にいるのか」、過去の生い立ちのストーリーとともに、お互いのことを深く理解し合います。
こうした内容を毎月共有し話し合うので、TECのメンバーとは他の同級生と比べ深い中を築くことができるようになると思います。
3. 参加してみての感想
結論としては、参加して非常に良かったと思っています。
正直、どんなプログラムかもあまりよく分かっておらず申し込んでしまったのですが、私としては以下の点が非常に意義深かったと思っています。
■経営者との対話
授業でケーススタディーを扱うことはあっても、なかなか直接経営者から話を聞く機会はありません。
- 実際直面した課題をケーススタディーとして経営者から直接話を聞ける
- それを通し、経営者がどのような視座・視野で何を考え、何に悩み、何に希望を抱き、そしてどのように考えているのか、対話を通して学ぶことができる
こうした点は、インテンシブなカリキュラムかつ大人数のMBAプログラムではカバーが難しく、TECだからこそ得られる価値の一つかなと思います。
■価値観・人生観の拡張
MBAにはこれまで様々な人生経験を積んだ方々が集まっているものの、日ごろの忙しい学生生活でそれらをシェアする機会はそう多くはありません。
- これまでの人生では絶対に出会ってこなかったであろう人たちの人生観や価値観に触れ、考え方の幅を広げることができる
- 同時に、フィードバックをもらうことで自分では気づかなかった自身の価値観や強み・弱みといったことに気づくことができる
- そうしたコミュニケーションを通じて深い仲をTECメンバーと築くことができる
忙しくあっという間に過ぎ去ってしまうMBAですが、こうして立ち止まって自身の価値観に見つめなおす機会はとても貴重だったなと思っています。
■英語での個人発表
- 毎月1回強制的に英語でプレゼンする機会を作ることができる
最後は少しレベル感が前2つと落ちますが、授業で個人発表をする機会は、意外にもそれほど多くはありません。準備は少々大変ですが、10分程度のプレゼンなので、英語での発表に慣れていない人にとっては非常に良い訓練の場になると思います。
以上がTECに参加してみての雑感になります。始めの頃は通常の授業の予習復習、そして就活も走り出し、教授とのディスカッション準備や発表準備に負荷がかかりましたが、上記のような貴重な学びを得ることができましたので、参加して非常に良かったと感じています。
最後に少しだけ個人的な話をすると、私の担当教授からは、「この6か月で英語でのコミュニケーションが劇的に改善した」と何度か褒めていただけました。
思い返せば純ドメとして乗り込んだフランス、ベースの英語力の低さに加え、当時は様々な国の英語に慣れることにも苦戦し、何度も聞き返していた気がします。それがいつからか、自然と英語でコミュニケーションができるようになり、くだらない話で笑えるようになり…。TECで毎月1回プレゼンの機会を得られたこと、TECのメンバーと踏み込んだ話をゆっくりとできたこと、そんな経験が自分を少しずつ成長させてくれたのかもしれません。
他にもクラブ活動やMBAT、ケースコンペ等、様々な授業外の機会がありますが、もし少しでもTECに興味を持たれたならば、ぜひアプライしてみることをお勧めします。もし何かご質問等あればいつでもお気軽にご連絡ください。